また
今日も負けた。19,600円負けた。
これが1週間しか競馬を止められなかった、45歳の1児の父の現実である。
先週や先々週、もちろんそれ以前も、私のことを心配してくださるコメントをいただいた。
結果として裏切ることになってしまった。申し訳ない気持ちでいっぱいである。
こうなることを予見していた方も多いとは思うが、このブログを読むだけでも数分は時間を割いていただいているはずだし、コメントを書いていただいたら、少なくとも30分以上は費やしていただいているであろう。
なかには通勤電車の中や、お昼休みに見てくださっている方もいるようだ。貴重な数分なのに時間泥棒になってしまったのが一番申し訳ない。
でも
僕は今日も、水曜日も競馬をやって、いろんな意味でよかったと思う。
今日も負けたけど、いい1日だった。
中京12Rは(というか15時頃から)、家族3人で競馬を見ていた。
当然、勝負馬は、あのダンシングチコである。
ダンシングチコは、出遅れて道中17番手という非常に厳しい位置になった。
しかし、前回のことがあるので私はもちろん丸田騎手も諦めるつもりはない。
4角でもロスを最小限にとどめ、なんとか進路を確保することができた。前まではかなり遠いが、私はただただ願うのみ、馬と丸田騎手はひたすら追い込むのみ。
残り100でもまだ遠いが、最後の最後に一気に差を詰めてきた。
3着届いたんじゃないか?
なんとか届いたようだ。
息子は、1着ではなかったからかゴール直後はポカンとした感じだったが、私が喜んでいるのをみて当たったことが分かったようだ。
2,000円が5,200円。
年末の5,000円は取り戻せていないが、気持ちとしてはだいぶ晴れた。
妻も「今日はビールでも飲もうか」と、大人の義務教育と一部で言われている633を買ってきてくれた。
それに、うどん鍋と刺身と餃子。楽しい夕食になりそうだ。
「結果を出せた」という事実が、『明るい気持ち』と『気持ちを切り替える勇気』をもたらしてくれるのである。
負けたままで
止めるというのは、本当に悔しくて無念なことである。
特に尋常ではない負け方をしてしまったと思えば思うほど、この無念はべき乗のように異常な勢いで膨らんでしまうのである。
私は300万の借金を抱えても、単勝1万円勝負へのこだわりを捨てられずにいた。
先週の土日も体を縛り付けるような思いで、やっとの思いで耐えたという感じである。
ずっと競馬のことで頭がいっぱいで、こんなことを続けるのは無理だと思った。
生きている意味がないとさえ思えた。
ただ単勝では、あまりに運に左右される要素が大きすぎると限界を感じていたのも、事実である。
ヴォージュ、サングラス、ジョーストリクトリ、フジマサアクトレス、ピカピカ・・・
もうハナ差ぐらいになると、最後は運である。
となると、単勝のような華やかさはないが、複勝しかないのかなと思うようになった。
4着になるのがこわかったが、単勝のハナ差2着は惜しいと言えるが、複勝のハナ差4着は、もう予想がヘボなのだと割り切ろうと思った。
あと1着になるのもイヤだったが、もうそんなわがままを言っている状況ではない。
実は
複勝をよく研究してから実戦で試してみようと思ったのだが、来月5日の返済について、あと6,000円くらいあれば足りるのに・・・というのが分かった。
30,000円に向けて、24,000円まで必死にかき集めたけど、あと6,000円どうしても足りない。
半休だった水曜日の午後、私は「えっ、本当にいいの?」と思いつつも浦和競馬場に足を踏み入れる覚悟を決めた。
「えっ、本当にいいの?」には金銭的な意味もあるが、コロナで会社でも家でも対策をしているときに、よりによって競馬場に行っていいのかな?という意味もあった。
それでも、自然にバス乗り場に向かって歩を進める自分がいた。
チャンスは10,000円×2レース。なんとしてでも決めるしかない状況だ。
しかし、8R、9R・・・そんな思いはあっさり粉砕された。
もうあきらめて帰ろう、と一瞬思った。
でも20,000円負けても、それ以上負けても、その先は同じである。
消費者金融から借りるか、家の財布からくすねるか、全てを家族に白状するか。
それでも、1万円への勝負へのこだわりは捨てられないだろう。
今、家に帰っても罪悪感と後悔と虚しさと苛立ちが残るのみである。
浦和競馬場内のATMに、一目散である。
翌日、口座引落予定の金に手をつけることになった。
ついにここまで追い込まれてしまったかと思いながら、1万円下ろした。
その結果が、大井10R・春光賞のニーマルティアラの複勝である。
1番枠の追い込み馬、距離延長、いろいろ心配な要素もあったが、3走前2着と直線外回りという要素に賭けることにした。
無難なスタートを切ったものの、予想通り後方に位置し、3角でもちょっと手ごたえがよくない。
あぁ、またやってしまったと思いつつ、鞍上の藤本騎手は4角では大外を回すことをせず、直線に向いてから馬を外に持ち出そうとする。
いくら外に出しても出しても馬がいて、という感じだったが、それでも1頭分のスペースを確保すると白い帽子と勝負服を泥だらけにしながら、力強く追い込んできた。
これなら3着以内いけそうだと思い、声が出そうになったが、あれ騎手誰だっけ?状態になってしまい声が出ない。
藤本だと確認して、「フジモト2着!」と声が出た。私の左側からももう1人「フジモト」と声が聞こえた。
そして、ニーマルティアラは2着入線。複勝640円。
ホッとした。安堵した。重い荷物を降ろせた気がした。流れを変えることができたと思った。
これで翌日の引落も、来月5日の引落も乗り越えられる。そして何より・・・
まだ、ここに居られる。
残りのレースはほぼプラマイゼロだったのだが、最終レースまで満喫することができた。そして翌日からは無観客競馬のお知らせが・・・
今年初めての勝ち戦となったが、嬉しい気持ちは皆無で、ホッとしたという気持ちと、悪い流れを断ち切れた満足感があった。
珈琲館でコーヒーを飲み、心を落ち着かせて家に帰ることにした。
現実に戻るための、ほんのわずかの癒される時間である。
コーヒーを飲みながら、自然に思った。
もう1万円勝負にこだわる必要はないなと。
ひとつの的中で、単勝10,000円勝負というきつく縛られていた呪縛を解くことができたような気がした。
人間の心というのは不思議なものである。この的中で自分のやってきたことが認められたと、頑なだった私の心は解釈したのかもしれない。
「結果を出せた」という事実が、『明るい気持ち』と『気持ちを切り替える勇気』をもたらしてくれるのである。
その結果が
今日からの複勝2,000円勝負である。
確かに物足りない感じはする。
それでも賭け金を5分の1にすることができた。
惜しむらくは、これをあと1ヶ月早く実行することができていれば、という思いだ。
あまりにも遅い判断だった。