日曜の
夕方である。
土日トータルプラスの絶好のチャンスを逸した自分に対して苛立ちが収まらない。
惜しい馬券はあった。テセウスとスズカデレヤは惜しかった。この2頭に関しては買ってよい馬券だったと思う。
しかし、結局は買うべき馬券を買えずに、買ってはいけない馬券を積み重ねてしまった自分の責任だ。
買うべき馬券とは、小倉2R・サウンドクレア(単払1,200円)、札幌11R・ソダシ(単払380円)のことを言っている。
この2頭をしっかり押さえていれば、今日分はドローに持ち込めた。
それを買えないというところが自分の実力不足と余裕のなさ、勇気のなさの証だ。
今日までの
1週間。月曜から日曜まで、心は大きく揺れ動き続けた。
競馬で大敗したとき、後悔の第一波は最後のレースのゴール直後にやってくる。波の種類としては、激しく鋭い感情が湧き上がってくる。
ペンをへし折ったりとか、近くにあるものとかブン投げたりといった怒りである。
ただ、やかんの沸騰したお湯と同じで、ガスを止めればそれ以上のことにはならない。
まぁその沸騰している一瞬のあいだに、衝動的に飛び降りたりしちゃう可能性もないわけでないが、私にはそんな勇気はないので。
後悔の第二波は布団に入った時だ。
この先どうしよう、もう競馬ができなくなるのかな、金策どうしようとか、波の種類としては不安な感情が湧き上がってくる。
でも気持ちはだいぶ冷静になっているので、もう競馬やめるしかないな、とか次の支払いを再確認したりとか、ひとつずつ不安を潰しつつ、でもやっぱり不安だなという感じで、そのうちどうにか眠りにつけるという感じだろうか。
僕が一番嫌なのは、翌朝目覚めた瞬間にやってくる後悔の第三波である。
気持ちが立て直されていないのに、待ったなく容赦なく仕事の存在をいやが応でも意識しなきゃならなくいけない。借金の存在も大きくのしかかる。
どんなに辛くても起きないといけない。今の時点で辛いのにさらに辛いことに立ち向かわないといけない現実を思い知らされるのだ。
このときが後悔のピークなのではなかろうか。
買うべき馬券を買えなかった後悔(過去の過ち)と、これから待ち構えている仕事と立ち向かわなければいけない憂鬱(未来への不安)。そしてのしかかる借金(現在進行形の事実)。
逃げ場がない。これが一番つらい。
そういう感情を吐き出せればいいのだが、この悩みは自分で乗り越えるしかない。
月曜の朝時点では、もう競馬やめるしかないんだろうなと思ったし、もうこれ以上、こんな自信を失うような惨めな経験をしたくないとも思った。
そんな
ぐちゃぐちゃな状態でも、どうにか月曜午前の仕事を黙々とこなし、ほんの少しだけ気持ちが落ち着いたのだが、その後、月曜の午後から水曜の午前から、大きなトラブルに巻き込まれた。
トラブルの起因が私によるものではなかったのが、唯一の救いだったが、思い出すのもしんどくなるような時間だった。
時間にも追われ、判断も求められる。
でも、いま思うと、トラブルに巻き込まれているうちは、現実を忘れることができていたなぁと思ったりもして。
水曜日の帰り道では、最後まで頑張れた自分を少しだけ誇らしく感じたりもできた。
そして木曜日、今週もなんとか競馬やりたいなと思えるようになってきて。
そうすると、今まで暗闇の中で追い込まれていた感じの自分の気持ちが、急に晴れやかになった気がして。
積み重なっていた仕事の悩みや課題にも立ち向かっていこうという気持ちが湧いてきた。
木曜日の帰りの電車の中で、JRAのHPをチェックした。
確認したことは3点、メイショウオニテの今週出走有無、小林凌騎手の騎乗馬、そして秋山真騎手の騎乗馬の確認である。
ブルアモーレを買おうと思ったのは、このときである。
あとは資金をどうするか。
もう覚悟を決めて、8月末(実際は27日)支払い分のお金に手をつけることにした。あとJRAダイレクトの残っている枠をフル活用することにした。
8月に賭けた分は、9月末の引落しなので、とりあえず払戻金だけ先に振り込まれるというありがたいけど悪魔なシステムを最大活用するしかないと思った。
一家の主としては、失格極まりないのだが、一家の主として責任を取るにはこれで行くしかないと思った。
その後は、日曜の夕方に考えればよいと思った。
結果は
みなさん既にご承知のとおりである。
土曜日こそ、自分の思い描いた理想に近い結果を出すことができたが、まさに一夜の夢であった。
自分の中では、良かったと思う気持ちが3割、あとは憤りが7割というところか。
なによりも先週の負けは、完全に想定外だったので自分の中でどうにも消化できなかったという思いがあった。
今週も、日曜分の的中なしは完全に想定外で、ちょっとそこがどうにも消化できていないんだけど、土曜日のブルアモーレの的中したときの、あの高揚した気持ちっていうのは、この1週間の苦しさが全て報われたと感じた瞬間だったし、負の流れを自分の力で断ち切れたという征服感が満ち足りて本当に気持ちがよかった。
負けたけど頑張れた。失うものの方が大きかったが、気持ちは立て直せた。
秋山真騎手のガッツポーズを見て、涙こそ出なかったけど、ちょっと・・・
ただ終わってみれば、負の流れは断ち切れていなかったというのがオチである。
まぁ
金銭的には8月27日分の支払いはなんとかできるんだけど、9月分の支払いがどうにもこうにもという感じになってしまった。
それ以上に、来週の賭け金が足りない。3万円しかない。
なので、買い方を変えるしかないと思った。
1場につき5頭買っているのを、2頭にしようと思う。
そのかわり1頭4,000円から5,000円として、1場につき10,000円という算段だ。
5頭買う方が収支も安定するだろうし、何よりレース数が多ければ楽しい。
でも、もう楽しいとか言っていられる立場ではなくなっているし、私が求めているのは収支の安定ではなく、プラス収支を続けて借金を返済することしかない。
5頭に絞るのも結構大変だが、5頭買っても1つも当てられない現実だったり、正直4番手、5番手ともなると、買うときは熱い思いを込めているのだが、レースが終わってみるとなんでこんな馬買ってしまったんだろうと思うこともある。
これで土曜日はやれる。
あとは日曜日分をどうするか。当たればよいのだが、どうしたものかと思う。
小芝さん、筧さん・・・