土曜日の
17時半。まだわずかに明るさは残っているが、マンション6階の窓からもう夕陽は見えない。
10月最初の土曜日が終わろうとしている。
今日は派遣の仕事はなかったのだが、家で過ごしていても本当に時間が長く感じる。
現場で働いていた日は、本当に時間が経つのがゆっくりでゆっくりで。
カゴ車を運んでも運んでも、時計は進まなくて。
倉庫にさしこむ夕陽で、やっと夕方、でもまだ2時間半も残っているのかと・・・
それでも、40代のおっさんが重く感じるカゴ車を、黙々と運び続けている女性もいて。
勇気というか、意地というか、やり遂げないとという気持ちになるのだ。
電車賃などを引くと手元に残るのは8,000円余り。
厳しいなと思いつつ、それでも自分の力で掴んだ金であることは事実だ。
本職で稼いでいるより金より少ないのに、重く感じるのはなぜだろうか。
中山で
4発、中京で1発。2,400円が5,600円になった土曜競馬。
アイムファイン、レヴァンジル、アイヴォリードレス、フォレブルート、リメイクが先頭でゴールを駆け抜けた。
何がよかったのか?
とにかく、買わないで勝たれたら一番後悔するだろうなぁという馬を想像しながら予想した。
勝つか負けるかはどうにもできないけど、とにかく自分の中で後悔しない馬券をという思いは貫けたのかなと思う。
それを具現化できたのは、中山2R・アイムファイン(岩部騎手・単払1,840円)だ。
岩部騎手・ミルファーム・前走3着、根拠はそれだけだ。
でも、それで通用してしまうのがギャンブル。一方で丹念に時間をかけて予想しても全然通用しないのもギャンブル。競馬とはなんと阿漕なものかと思う。
とはいえ、この結論にたどり着くまで揺らいだのは確かだ。
1番枠のモールも気になったし、田頭オーナーのスンヌンタイかなとも思ったし、的場騎手の同じくミルファーム馬エスティメートにも心ひかれた。
何より一番気になったのは、ディージェーサンだった。
それでも勝たれたら一番後悔するだろうなぁと心を巡らせると、やっぱり僕にはアイムファインという選択しかなかった。
100円だから貫けたのだとも思う。
これがもし4,000円だったら、ディージェーサンを選んでしまったような気がするし、10,000円だったら、さらに安全牌でスンヌンタイを選んだ気がする。
難しいよね。
目のつけどころがよいだけでは勝てなくて、その気づきを信じて貫くという強い気持ち&心の余裕があって、初めて勝利への道が開かれるのかなと思う。
今日に限っては、ざっくり予想がいい方に出た。
中山12R・フォレブルートは1年2ヶ月の休み明けだったが、芝からダート替わりのことしか気にしていなかった。1年以上休みと知っていたら100円でも買えなかったかも。
当たるときは、こんなに簡単に当たってしまうのかと思う1日だった。
3,200円の勝利。愛しくもあり、切なさもあり、でもちょっとだけ心強く思う。
日中は
息子と一緒に、学校で使う、どんぐりと松ぼっくりを探しに公園に出かけた。
小さなどんぐり、大きなどんぐり、まんまるのどんぐり、帽子がついたどんぐり、茶色のどんぐり、黄緑のどんぐり
どんぐり拾いなんて・・・と気が乗らずに外出したが、拾い始めると気持ちが変わってくるものだ。
仕事も同じだ。嫌だな嫌だなと思っていても、始まればあとは終わるまで頑張るのみだ。
なかなか最初の一歩を踏み出すのが大変。一つのアクションを起こすことがどれだけ難しいことか、そして尊いことか。
技術力や知識力を身につけることも大事だが、それよりも最初の一歩を踏み出せる力というのが生きていくために、困難を切り抜けるために、そして夢を叶えるために一番大事な力なのだと思う。
人生の残り時間が少なくなってきたと感じる今だからこそ、最初の一歩を踏み出せる力を鍛えていくしかない。
鍛えるにはって?
もう、自分の心から湧いてきた気づきを信じて貫くことを繰り返すしかないのかな。
そして、そこで勝ち得た成功体験が心の余裕につながるのだと思う。
ちなみに、松ぼっくりは1個も見つけられなかった。